​​法定点検と自動車点検（車検）を混同している方は少なくありません。

車の所有者にとってどちらも重要な点検であることは間違いありませんが、重要度は異なるため違いをよく理解しておくことが重要です。

本記事では、法定点検と自動車点検（車検）の違いについて解説するので参考にしてください。

法定点検とは

自動車の使用においては、安全性や性能の維持が大切となります。

そのために必要なものの一つが法定点検、または定期点検と呼ばれるものです。

法定点検とは、自動車の故障を未然に防ぎ、性能維持を図るために行う点検のことを指します。

車のエンジンやブレーキ、タイヤなど、主要な部分のチェックを行い、必要に応じてメンテナンスや部品交換が実施する点検です。

なお、法定点検はその名の通り法律で実施の義務が定められているものですが、罰則や罰金が科せられるものではありません。

ただし、バスやトラック、タクシーなどの事業用自動車は法定点検を怠ると30万円以下の罰金が科される可能性があります。

事業用自動車を所有している法人や個人事業主の方は注意するようにしましょう。

車検と法定点検の違い

車検と法定点検は両方とも自動車の点検に関するものですが、その目的と法的な拘束力に大きな違いがあります。

法定点検は自動車の本来の走行性能を維持し、故障や不具合がないかを確認するための検査です。

一方、車検は車が国の定める保安基準を満たしているかを確認するための検査であり、法的に定められた期間内に必ず受けなければならない法的な義務があります。

車検が切れた車が公道を走った場合、「6ヶ月以下の懲役または、30万円以下の罰金」が課せられたうえで、免停になるので注意が必要です。

車検の際は法定点検の「24ヶ月点検」も一緒に行う方が多いため、同じものだと混同しがちですが、異なるものであることを理解しておきましょう。

法定点検の種類

自動車の法定点検は、実施すべき時期が定められており、点検する内容にも違いあります。

ここでは、自家用車が実施する義務のある「12ヶ月点検・24ヶ月点検」ついて詳しく解説するので、内容をよく理解しておくようにしてください。

なお、ここでは解説していませんが、事業用の自動車に関しては、車種によって「3ヶ月点検・6ヶ月点検」が必要になることも覚えておきましょう。

12ヶ月点検

12ヶ月点検は名前の通り1年ごとに行われる点検です。

点検項目は27項目あり、主に以下の点検を行います。

 エンジンオイルとフィルターのチェックと交換
 タイヤの空気圧と摩耗度のチェック
 ブレーキパッドやブレーキローターの摩耗度チェック
 ライト（ヘッドライト、テールライト、ターンシグナル、ブレーキライトなど）のチェック

これらは車の基本的な性能を保つ上で重要な項目であり、放置すると車の寿命を縮めるだけでなく、安全性にも問題を生じさせる可能性があります。

費用は車種や整備業者により異なりますが、１〜2万円程度が一般的です。

24ヶ月点検

24ヶ月点検は2年ごとに行われる点検です。

点検項目は56項目あり、主に以下の点検を行います。

 エンジンオイルとフィルターのチェックと交換
 タイヤの空気圧と摩耗度のチェック
 ブレーキパッドやブレーキローターの摩耗度チェック
 ライト（ヘッドライト、テールライト、ターンシグナル、ブレーキライトなど）のチェック
 バッテリーのチェックと交換

上記の点検は車の長期的な性能維持に不可欠であり、不具合の早期発見につながります。

なお、24ヶ月点検の費用は車の状態や業者によりますが、車検と一緒に実施するため、3万円〜10万円程度が目安です。

車検費用に含まれることも多いため、車検費用と捉えている方も多いでしょう。

法定点検を受けるメリット

法定点検は義務であるため当然受ける必要がありますが、罰則がないため怠ってしまう人も少なくありません。

しかし、法定点検を受けること自体のメリットも多いです。

ここでは、法定点検を受けるメリットについて解説するので参考にしてください。

車のトラブル防止につながる

定期的な点検により、整備不良や不具合から起こる可能性のある車のトラブルを防ぐことが可能です。

車は日々の使用により消耗し、未発見の故障や不具合が積み重なると、突如として大きなトラブルに繋がる可能性があります。

整備不良や不具合を早期に発見し修正することで、予期せぬトラブルから車の安全を守り、走行中断や予期せぬ修理費用を抑えることが可能です。

このように、法定点検を受けることはトラブルの防止だけでなく、修理費用の軽減にもつながることを理解しておきましょう。

法的責任を軽減される可能性がある

定期的に法定点検を受けていると、万が一の事故が発生した際でも、ドライバーの法的責任を軽減する可能性があると言われています。

法定点検を受けることにより適切なメンテナンスを行っていたという証拠が得られるためです。

定期的な法定点検により車の状態を良好に保っていたことが証明されると、事故が起こった際に車の不備が原因でないことを示す重要な証拠となり得るため、法定点検は欠かさず受けるようにしましょう。

高値で売れる可能性がある

法定点検を受けているという記録は、車の状態が良好である証明になります。

そのため、車を売却する際には高値で売れる可能性が高まります。

定期的な点検とメンテナンスは車の価値を維持し、購入者からの信頼性を高めるためです。

また、定期的な点検とメンテナンスを行うことは、車の寿命を延ばす効果があるため、車の価値が維持するという面もあります。

これにより、車の価格が向上し、より良い条件で車を売却することが可能になるでしょう。

まとめ

法定点検は車の性能維持や故障予防に大いに寄与する重要な点検です。

車検とは異なり法定点検は任意ですが、車の長期的な運用や安全性を考えると、定期的な法定点検の受けることを強くおすすめします。

当然ですが車のメンテナンスは所有者の責任です。

自己の安全と快適な走行環境を確保するため、そして車自体の価値を維持するためにも怠らないようにしましょう。